「中心静脈穿刺」一点に絞った番組がなぜ必要なのか

2026/05/22

CareNeTVでは臨床のさまざまなスキルや知識をテーマに取り上げていますが、1つの手技だけで1本の番組を作ったのは、僕の記憶ではこれだけだと思います。徳嶺譲芳先生による「目で学ぶ安全な中心静脈穿刺」。ケアネットライブで配信後、CareNeTVにアーカイブされていますが、多くの先生方に高い評価をいただいています。


この番組が生まれたきっかけは、徳嶺先生の「医師も患者も守りたい」という医療安全に対する熱い思いにほかなりません。僕らの感覚では、1つの手技だけで1つの番組を制作しようとはなかなか考えませんが、徳嶺先生が「これだけで番組にするくらい重要なことだし、それくらい伝えるべきこともある。多くの医師に医学教育メディアとして信頼されているケアネットだからこそ作るべき」と強く訴えていたのが印象に残っています。


CV穿刺は、すべての医師が習得すべき基本手技の1つとされていますが、侵襲性が高く、どんな医師でもその手技に習熟しているというわけではありません。


穿刺部位の周囲には、肺、動脈、神経など重要な臓器・器官が密集しており、一歩間違えれば気胸や動脈誤穿刺、縦隔血腫、空気塞栓などの重篤な合併症を引き起こします。実際、医療事故による死亡原因として最も多い手技であり、エコーガイドが普及した現代でも重大な事故は後を絶ちません。とくに経験の浅い医師にとっては、複雑な手順をミスなく手早く行わなければならないため大きな精神的負荷がかかります。


さらに、CV穿刺は教科書的な学習だけでは身につきにくい特性があります。イラストや手順書をどれだけ読み込んでも、エコー画面と連動する「手元の感覚」や、針先の位置を立体的に把握するセンスはつかめません。先輩医師の手技を見学していても、微細なコントロールや頭の中の思考プロセスまではわかりません。


「目で学ぶ安全な中心静脈穿刺」はそのような前提に立って、好むと好まざるとにかかわらずCV穿刺を施行せざるを得ない局面で、ともかく事故を起こさない方法を追求しています。


ポイントは、「エコーガイド下穿刺」の盲点。エコー画像上で針先を見失ったり、血管の後ろの壁を突き破ったりという、エコー下だからこそ陥りやすい罠を、シミュレーターを用いて丁寧に可視化しています。教科書では表現しきれないプローブと穿刺針の扱い方とエコー画像の動きを同期させ「目で見て」学べるのが動画教材ならではの大きな価値です。


「こういうハンズオンでやるのがふさわしい内容を、座学でここまで説明できるのは素晴らしいと思います。エコーガイド下が主流になってきていますが、やはりエコーを『適切に』使うことが肝要ですね。初学者よりも指導者側こそ見ておくべき内容だと思います」


「エコーガイド下穿刺法に関して、とても丁寧な解説でわかりやすいです。自分の手技の見直しになりましたし、研修医の先生にもこの動画を教えたいと思いました」


実際に視聴した先生方から、このような好意的なコメントをたくさん頂戴し、徳嶺先生のあの時の力説ぶりに得心がいった次第です。

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