数多あるCareNeTV番組の中で、長く支持を集め続ける作品には、それなりの理由がある。ヒット作の見所を、講師の先生の素顔、収録秘話を含め、ケアネット編集長の風間がご案内します。
-
「医学はアート」を体現するこのスキルを身につけ伝えてほしい 2023/11/25
The practice of medicine is an art, based on science.今日の医学教育の基礎を築いたとされるカナダ人医師、ウイリアム・オスラーの言葉です。「医学は科学に基づくアートである」と訳されることの多いこの名言を知らない医師はいないでしょう。文章として美しく、カッコいいので、僕もどこかで聞いてなんとなく覚えていますが、オスラー先生はどういう文脈でアートという言葉を使ったのだろう?とたまに考えます。artという英単語は、日本人の中学生英語的に直訳すれば「芸術」ですが、文脈によっていろいろな意味で使われます。もう一つの代表的なのが「技術、技(わざ)」といった意味。熟練の技を持つ職人を意味するartisanという単語がありますが、語源的にはこの意味合いのartから来ているのは明らかです。腕のいい外科医の技はそれ自体がアートと言っていいでしょう。さらに、その術野は見惚れるほど美しく、作品としてもアートだという考え方もありえるかもしれません。しかし、僕が(医学をきちんと学んだこともなく、医師でもなく、ただ普通の人よりは医師の業務内容やマインドをよく知っている一般人としての僕が個人的に)「医学はアートである」という言葉からいつも想起するのは、そういうドラマチックなシーンではありません。医師のもっとも基本的なテクニックであるフィジカルイグザミネーション、身体診察です。医師が自分の身体の機能を駆使し、患者の身体の中で起こっている器質的な異変を感じ取り、自分の頭の中にある医学知識に照らし、その異変を病気として同定する。そこには技があり、科学に基づく知識の活用があり、創造性があります。作品には残りませんが、まさに「科学に基づくアート」です。一方、昨今、身体診察が相対的に軽視されているのは否めません。初診の患者さんに聴診器を当てない先生も珍しくないとか。言うまでもなく、検査機器の進歩に反比例する現象です。画像を撮れば一目瞭然、血液検査のデータがあればすぐ診断できるのだから…という合理的な考えは理解できます。理解できますが、やっぱりすべての医師が、もっとも手軽で有効なフィジカルイグザミネーションという技を身につけて、日常診療で生かしてほしい。そう思います。学研メディカルサポートが制作した「目で学ぶフィジカルアセスメント大全」は、全18話で日常診療で使う身体診察のテクニックをほぼ網羅しています。新しい薬が次々と誕生する治療と違い、身体診察は古びません。キャッチコピーでうたっているように「一生モノの型」が身につきます。こうした番組を通じて、形に残らない医師ならではの「アート」が未来に伝承されていくことを望んでいます。 -
シン・聴診術、東大式 抗菌薬スペクトラム…今ライブGTが面白い! 2023/10/28
聖路加流低Na血症への対応、シン・聴診術、東大式 必修 抗菌薬のスペクトラム…ユニークな切り口で数々のヒット作を生み出している「ケアネットライブGT」が2シーズン目に突入しました。GTとは、got talent のアクロニム。テーマはズバリ才能発掘です。CareNeTVには、臨床医であれば誰でも知っているような著名な医師による質の高いレクチャーが溢れていますが、一方で、どんなスター講師も最初は無名だったという当たり前の事実もあります。GTの企画意図は、これから日本の医学教育界をリードしていくだろう若手、あるいは、豊かな才能があり伝える価値がある知識を持っていながら世間にまだあまり知られていない中堅の先生方を招聘し、世に出していきたい、スターにしていきたいというものです。ところで、医師の方々と雑談をしているときによく聞かれることの1つに「CareNeTVの講師の先生ってどうやって見つけてるの?」というのがあります。この問いに対する明確な答えは、正直ありません。一番理想的なのはすでに良い関係にある先生とのコミュニケーションの中で新たな企画、その企画に相応しい先生が浮かび上がってくることですが、いつもそう都合よくはいきません。だからCareNeTVの企画担当者たちは、常に学会の演題をチェックしたり、売れてそうな書籍を立ち読みしに本屋に行ったり、ネットで適当なワードを打ち込んで検索したり、当てもなくネットサーフィンしたりしているのです。GTは、視聴者に有益なコンテンツを提供しつつ、そんな難しい作業に1つのレールを敷いていく試みでもあるわけです。「パクるのは全然ありだよー」と僕はよくスタッフに言っています。ここでいう「パクる」とは物品を盗むことではなく、世間で上手くいっている商品やサービスのアイデアを拝借することです。正直カッコよくはありませんが、成功例を真似すれば2匹目、3匹目のドジョウ的に成功する確率は高いので、ある意味、コンテンツ作りの王道ともいえます。でもいつもパクってばかりいたら「あいつらオリジナリティがない奴らだ」と評価を下げていくからね、と注釈をつけますが。なお、ケアネットライブGTは、外国の某テレビ番組にインスパイアされ、オマージュを込めたネーミングであって、パクりではありませんので、念のため。 -
心電図を読むときは「紙コップ」を! 使えるDr.増井メソッド 2023/09/21
心電図って難しいですよね。僕は、医療者ではないので、心電図を読める必要はないのですが、CareNeTVの番組の映像チェックで心電図が出てくると、医師になったつもりでなんとか読もうと努力してしまいます。素人ながら何度も同じようなことをやっているので、典型的なST上昇などはわかるようになりました。しかし、当たり前ですが、実際に臨床で遭遇する心電図はそんな教科書に出てくるようなわかりやすい波形ではありません。「Dr.増井の心電図ハンティング」はいきなりそこからスタートするので、スタジオでそのレクチャーを見たとき、「むむむ」って見入ってしまったのを覚えています。最初に提示されたケース0。僕でもあっさりわかりましたが、それは医師国家試験の問題で96.5%の正答率だったというオチ。そういう教科書的な心電図には誰も困りませんよね、という前振りだったわけです。増井先生は、あくまで循環器科ではない一般の医師や研修医が悩むだろう心電図にフォーカスします。黒か白かはっきりしないグレーゾーン。循環器専門医のように完璧に白黒見極められる必要はありません。その広い灰色の面積をいかにより小さくするか、番組ではそのためのさまざまな増井流メソッドがつまびらかにされていきます。そのなかでも僕が一番わかりやすい!と目から鱗が落ちたのが「紙コップ」メソッド。12誘導心電図は胸部12カ所に誘導電極をはって心臓の動きを見ているわけですが、心電図ではそれが平面に並んだ波形として表現されます。それを立体的に理解するために、紙コップを心臓の左室に見立て、電極の位置をマーキングして実際の心臓のどこでその動きが起こっているかイメージするわけです。そうすることで、一見わかりにくい心電図でも12個の波形の本当の位置関係から所見が見えてくる(ことがある)。“コロンブスの卵”的はありますが、これが使える!その後、「心電図ハンティング2 失神・不整脈編」「骨折ハンティング」「血ガスハンティング」とリリースされた番組はどれも大好評で、増井先生はいまやCareNeTVを代表する人気講師です。その根底にあるのは、臨床現場からしか生まれない、初学者が実際に使える小さな知恵の集積なのだと僕は思います。9月23~24日の「ケアネットまつり」では、増井先生には「おまつりバージョン」として心電図クイズを生配信してもらいます。無料ですので、CareNeTVプレミアムの会員になっていない先生方も、Dr.増井流の粋をまずはライブで体感してみてください。 -
岡田正人スタイル、誰もが聴き惚れる名講義のカラクリ 2023/08/26
聖路加国際病院の岡田正人先生は、きら星のごとく並ぶCareNeTVのスター講師陣の中でもとくに視聴者の支持を集める先生です。コロナ禍以降、アナフィラキシーなどケアネットライブで何回か登場してもらっていますが、最新のシリーズ番組となると2019年リリースの「岡田正人のアレルギーLIVE」まで遡ります。岡田先生の講義スタイルはオーソドックスです。しかし、なぜか知らぬ間に引き込まれてしまうし、ともかくわかりやすい。知識がしっかり頭に刻まれ、心地よい”読後感”が残る。「アレルギーLIVE」の演出も、あまり下手な工夫をせず、ただライブで生き生きと話してもらうのが岡田先生の良さが一番出ると考え、そうしました。オンデマンドの番組ですが、だからタイトルもあえてLIVEに。このコラムを書くにあたって、ずっと気になっていた過去の番組も見てみました。「Dr.岡田のワインクリニック」。先生がフランス在任中に学んだワインについて指南する異色の作品です。制作されたのは10年以上前で、僕はまだケアネットに入社しておらず、企画にはまったく関わっていません。ちなみに、僕は今でこそ無類のChampagne loverとして周囲の人には知られていますが、当時は、シャンパンはおろかワインにもそれほど興味はありませんでした。ということもあり、その時は「ケアネットってこんな番組も作ってるんだー、へぇー」と思っただけで、とくに見てみようとは思いませんでした。番組は対談形式で、岡田先生がレストランのテーブル席でお相手の女性医師にワインに関する蘊蓄を傾けていきます。当然ワイングラスも傾けながら。シャンパンの回は、僕が最近よく飲み屋で知ったかぶってしゃべっているような話を、極めて正確に、あくまでジェントルに語っていました。勉強になるなー。これまた聴き惚れてしまった。そうなのです。岡田先生のレクチャーは、観ている、聴いている「私」にまさに語りかけてくる感じなのです。それこそ差しでワインを飲みながら。最近のビジネス用語的に言うと、1on1ミーティング風ということでしょうか。で今回、岡田レクチャーの妙は、ワインの蘊蓄話にありと勝手に(無理矢理?)結論付けてみました。9月23日〜24日のケアネットまつりでは、岡田先生の十八番の十八番、ライブ感溢れる膠原病の最新講義が無料で見られます。こちらも、ご自宅でワインでも飲みながらごゆるりとお楽しみください。 -
診断の名手・志水太郎は「眠れる巨人」を見つけられたか? 2023/07/29
A Sleeping GiantGoing from A to ZThe Hidden LesionCircling Back for the Diagnosisこれらの英語、どこから持ってきたと思いますか?すぐ答えを言ってしまいますが、かのNEJM(The New England Journal of Medicine)の名物コーナー「Clinical Problem-Solving」のタイトルなんです。初めて見たときは、学術的な医学ジャーナルなのに面白いタイトルの付け方をするんだなー、と思ったものです。またこれらは、CareNeTV番組「志水太郎の診断戦略ケーススタディ」の各回タイトルでもあります。この番組は、志水先生が「診断戦略エッセンス」で明らかにした、エラーなく的確な診断を行うための戦術や技法を、実際の症例のケースに適応して解説するものです。そこに、NEJMのケースが使った理由はシンプルで、志水先生に企画の相談をすると、先生が主任教授を務める獨協医科大学の総合診療科では、診断のトレーニングに「Clinical Problem-Solving」を教材として日頃から使っていると聞いたからです。さっそく先生にバックナンバーから適切なケースを選んでもらい、NEJMに転載許可を得て、番組化した次第です。選りすぐりの難症例に対して、志水先生が診断戦略の基本であるSystem1(直観的診断)、System2(網羅的・論理的・分析的診断)、System3(ラテラル・アプローチ)を駆使して挑んでいく様は、臨床推論の勉強になるだけでなく、推理小説にも似たエンタテインメント性があります。そして番組の最後には、NEJMのタイトル付けの妙にも膝を打ちたくなるでしょう。なお、各回タイトルは、「眠れる巨人」「Aから始まりZで終る」「隠された病変」「一周回って確診に」と訳しました。ところで、すでに告知を始めていますが、9月23日、24日の2日間にわたって、無料オンラインLIVEイベント「ケアネットまつり」を開催します。9月24日13時からは、志水先生が生で登場。プレゼンターが提示する症例を”やらせ”なし、ぶっつけ本番で解いていきます。ご存じの方も多いと思いますが、このやり方は、診断の神様と称されるローレンス・ティアニー先生の教育カンファレンスのスタイルです。ティアニー最後の直弟子を自任する志水先生が時間内に診断に到達できるのか?暑い夏が終わるころ、全医療者必見の熱いイベントが待っています。こちらもご期待ください。 -
ウオノメ、タコ、イボの違いは?難解な皮膚科の世界をクイズで身近に 2023/06/24
鶏眼、胼胝、疣贅。これらの漢字が読めるでしょうか?最後の「ゆうぜい」は比較的一般的な医学用語だと思いますが、前の2つは一般の先生にはひょっとすると難しいかもしれません。正解は前から「けいがん」「べんち」。それぞれ俗にいうウオノメ、タコのことです。(尋常性)疣贅はもちろんイボのこと。「皮膚科の病気は種類が多くて、しかも病名に難しい漢字が多いので、他科の先生はなかなか勉強しようという気にならないんですよね」皮膚科の先生と雑談していると、皆さんだいたいこんなことをおっしゃいます。冒頭の3つは、病名の漢字こそ難しいけれど、一般人も知っているコモンな疾患ですが、当然そうでないものが大半。それをほぼ皮疹だけから鑑別疾患を挙げなくてはいけないので、勉強する気が萎えるのも仕方ないかもしれません。一方で、皮膚症状は、一般内科の先生が日常診療で、患者さんからの訴えとして比較的頻繁に遭遇するものです。そのすべてを診断して治療することは無理だとしても、ある程度は対応できるようにしたいところ。このギャップを埋めるべく、難解な皮膚科の世界に一般の先生方が抵抗なく入っていけるよう、1疾患1問5分のクイズで構成したのが『Dr.安部の皮膚科クイズ』。誰もが診たことのあるメジャーな皮膚疾患を扱う初級編から、専門医も慎重に診断する必要がある上級編まで3ステップで学べます。タイトルの「タコ、ウオノメ、イボの違い」については初級編で解説しています。ごく簡単にいうと、ウオノメが真皮側に向かって表皮が楔状に増殖して痛みがあるのに対し、タコとイボは外側に向かって表皮が増殖し、痛みも痒みもない。タコとイボの違いは、タコは外観が平坦なのに対し、イボはカリフラワー状に小さい盛り上がり多数見える場合が多いこと。『Dr.安部の皮膚科クイズ』は、こんなシンプルなクイズ形式をとることで、皮膚科特有の小難しい感じがないためか、たくさんの先生方に支持されているCareNeTVの名作の1つとなっています。『Dr.安部の皮膚科クイズ 初級編』『Dr.安部の皮膚科クイズ 中級編』『Dr.安部の皮膚科クイズ 上級編』 -
高齢者では「とくに」身体診察が重要な納得の理由 2023/05/27
診断学の世界では「丁寧に問診をすれば8割がた診断がつく」と言われます。診断の達人と言われる先生方が、問診、病歴聴取を何より重視する理由です。それに比べ、画像診断機器全盛の現代において、身体診察は徐々に軽視されてきているのは否めません。僕自身の記憶でも、子どもの頃お医者さんに行くと、必ずシャツをめくって聴診器を当てられ、指でトントン叩かれていたことを思い出します。あれが「打診」だったというのはこの仕事をするようになって知りましたが、最近はクリニックに行ってもああいう診察をしない先生が多い気がします。しかし、身体診察が今も診断に有用なのは論を待ちません。CareNeTV番組『Dr.たけしの本当にスゴい症候診断』で世の臨床医を驚かした、Dr.たけしこと上田剛士先生は、「とくに」高齢者では身体診察の意義が大きいと言います。なぜなら、高齢者では認知機能の低下などから病歴が不正確になりがちで、問診では診断に必要な情報が聞き出せない場合があります。また、高齢者では鑑別すべき疾患が多い一方、そもそも身体機能が衰えているため、検査をすると異常が出てしまい、その結果、また検査をするといったように、検査の結果に振り回される可能性があるからです。そんな上田先生の思いを番組化したのが2018年にリリースした『Dr.たけしの本当にスゴい高齢者身体診察』。「発熱」「急性腹症」「心臓」「肺」「意識障害」「神経診察」という6つの症候・疾患領域で、身体診察の意義とテクニック、評価の仕方を実技付きで懇切丁寧に解説します。上田先生ならではのエビデンスに基づき診断確率を上げる手法はそのままに、高齢者ならではの診察方法を伝授しているのも特徴です。たとえば、上肢脱力を評価するBarre試験などは認知機能が落ちている高齢者ではできない場合があります。では、そうした高齢者にも施行できる試験は何か? 簡単で、目から鱗が落ちるティップスがいっぱいです。難しい心電図を瞬時に読めたり、CT画像からズバッと疾患を言い当てられる医師もカッコいいですが、そんな機械を使わなくても自分の身体を使って診断できてしまう医師はもっとカッコいい。そんな感想さえ抱いてしまう「本当にスゴい」1本です。 -
『感染症プラチナマニュアル』はなぜ“プラチナ”なのか? 2023/04/23
埼玉医科大学教授・岡秀昭先生の手になる『感染症プラチナマニュアル』(メディカル・サイエンス・インターナショナル:MEDSi)が今年で第8版になるそうです。感染症診療マニュアルとして、全医療者必携ともいえる高い評価を得ている同書。CareNeTVでもその評判にあやかり、いわば動画版として「Dr.岡の感染症プラチナレクチャー」をリリースしてきました。最初の「市中感染症編」の第1回公開が2018年1月なので、5年が経過したことになります。「プラチナレクチャー」の方もおかげさまで、CareNeTV屈指の看板番組に成長しました。CareNeTVのホームページでは月間、年間の視聴数ランキングとともに、全期間のランキングも掲載していますが、ついに同番組が1位まで登り詰めました。全期間なので、当然古い番組の方が累計が多くなり有利なので、5年で1位獲得というのはなかなか凄いことなのです。「プラチナレクチャー」がこれだけ人気を博しているのは内容の良さもさることながら、感染症という疾患領域の特殊性にもあると思います。診療科は呼吸器、消化器、泌尿器などおおむね臓器ごとに分類されていますが、感染症はそれらの臓器どこにでも起こり得る、臓器横断的な専門領域です。それでいて、大変コモンな病態なので「専門外だから」と言って無視することはできない。多くの症候でまず感染症を疑わなければならないし、他の疾患を治療中に発症しやすいのもまた感染症だからです。だから、感染症はすべての医療者に必要な知識であり、一度はきちんと学び、基本を押さえておかなくてはならないのです。さて、この記事のタイトルに対する解答です。『感染症プラチナマニュアル』はなぜ“プラチナ”なのか?これは、僕が今述べた感染症の特徴とは実は何の関係もありません。知っている人には常識でしょうが、その由来は、岡先生がかつて指導医をしていたJCHO東京高輪病院にあります。当時、先生が院内の研修医指導のためにまとめていたマニュアルが同書の原形であり、同院の最寄り駅が白金台だったことから(住所は港区高輪)、それを「プラチナマニュアル」と名付けたそうです。これは、ほかならぬ岡先生自身が先の「市中感染症編」第1回の冒頭で語っています。僕も収録のスタジオで初めて知りました。その出題を冒頭に持ってくる岡先生のセンスの良さに脱帽したのをよく覚えています(ひどく暑い日だったなー)。その後、MEDSiさんは感染症以外にもいくつかの疾患領域で「プラチナマニュアル」を発行していますが、そのネーミングの源流はすべて白金台に遡れるのです。というわけで、最後は「プラチナマニュアル」のブランドストーリーのトリビアでした。 -
臨床医が産業医として働くのは意外に難しい。その理由 2023/03/26
目の前にいる患者を診断して、病気を治す。これが医師が行うもっとも一般的な業務であり、世の中の多くの人がイメージする「お医者さん」の仕事です。9割以上の医師がこのような臨床医に該当すると思います。しかし、医師免許を持っていても、臨床に従事しない人もいます。大学や研究機関で研究に専念していたり、製薬企業で創薬に携わっていたり。行政官も数多くいますし、最近では、ヘルスケアビジネスを起業して実業界に進出する医師も目立つようになりました。もちろんこれらの医師は全体から見るとごく少数ですが、臨床以外の医師の仕事でもっともコモンなものは何だろうと考えてみると、それは産業医ではないでしょうか。産業医は50人以上の事業所に設置が義務付けられているので、必要数は膨大です。自ずと臨床と兼任している医師が多数派になります。しかし患者を診る臨床医と、企業と契約しその従業員の健康管理をする産業医では、求められる知識とスキルが異なります。2016年にリリースした『今どき産業医のマストKNOW』では、プロ産業医の大室正志先生が臨床の先生方に向けて、実際に産業医に求められる役割を解説しています。産業医の資格は医師にとても人気があり、日本医師会と産業医大が実施している認定研修会には毎回応募が殺到するというのは、医師の間では常識です。そのような定番の研修がしっかりある状況で、CareNeTVで番組をつくる必要がそもそもあるのかと当時思いましたが、大室先生にお話を聞くと、研修を受けて資格取得しても、臨床医が産業医として「いい仕事」をするのは決して簡単ではないとのこと。その最大の理由が「臨床医にとってのクライアントは患者なのに対して、産業医にとってのクライアントは企業である」というベースの違いにあるのだそうです。臨床医の先生方は当然患者のために働くわけですが、誤解を恐れずに言えば、産業医は個々の従業員よりもむしろ企業のために働かなくてはならない。ずっと患者を治すことだけを考えてきた医師には、そのマインドチェンジが意外とできない。当然と言えば当然ですが、改めてそう言われて、ちょっとハッとしたのを覚えています。『今どき産業医のマストKNOW』では、そのような視座から、産業医として必ず知っておかなくてはいけないこと、さらに、できなくてはいけない基本的なことをカバーしました。CareNeTVは「実臨床に役立つ」を旗印にしていますが、こんな臨床とは違った見方を提示するプログラムも用意しています。 -
妊婦にどこまで投薬できるか?この難問に具体的かつ丁寧に答えるガイドライン的番組 2023/02/25
医療というサービスを他のサービスと比較したときの大きな特徴は、それが基本的には人体に有害なものであるということです。手術などの侵襲的な医療行為だけでなく、一見非侵襲な薬剤の投与も同じです。どんな薬にも治療効果を期待する主作用とともに副作用があります。だから、どんな投薬もリストとベネフィットを比較考慮したうえでなされ、その判断が極めて重要であるため、医師や薬剤師という職業はどの国でも厳格な国家資格であるわけです。処方を決定する医師には広い知識が求められ、だからこそ、世界中でもっとも信頼される職業であるともいえます。そのような観点から、投薬の判断がとても難しい場面の一つが、妊娠中であったり授乳中であったりする女性に対してです。この薬はいいけど、この薬はダメ。とはっきり線引きできません。いや、催奇性があるからダメという薬は割とはっきりしています。「この薬は使っても大丈夫」と太鼓判を押すのが難しい。その判断の重みを思うと、OKと断言するのは、どんな医師にとってもとても難しい。むしろ、どんな医師も判断を避けたい問題だといえるかもしれません。『Dr.水谷の妊娠・授乳中の処方コンサルト』はその難問に真正面から向き合った番組です。最初、担当者から企画の提案を受けたとき「先生、本当にやってくれるの?」と思ったものです。だから、引き受けてくれただけでも水谷先生には尊敬しきりでしたが、完成した番組がまたすばらしい。よく使われる薬について、具体的に「これは安全、これは要注意、これは不可」と明示していきます。当然、科学的に、エビデンスに基づいて。「この薬は議論が分かれている」といった情報もありのまま提示し、あくまで実践的に真摯にこの難題に取り組んでいきます。たとえば、妊婦への抗菌薬については、ペニシリン、セフェム、マクロライド、クリンダマイシンは安全。アミノグリコシド、スルホンアミド、メトロニダゾール、グリコペプチドは注意。ニューキノロン、テトラサイクリンは原則不可といった具合。アモキシシリン・クラブラン酸については、有害事象報告に基づいて、必要性が高い場面に限るよう注意を促します。収録時点で収集し得た情報を駆使し、妊娠・授乳中に「使える」薬剤についてここまで「攻めた」コンテンツはなかなかないと思います。医師のみなさんが臨床現場でその難問に直面したとき、きっとガイドラインの役割を果たしてくれるはずです。ある意味地味ですが、臨床医学的に大変価値がある番組だと自負しています。 -
ブームを先取り?輸液の名人Dr.須藤が指した意外な一手 2023/01/28
CareNeTV講師陣のなかでも昔から大人気の須藤博先生。2008年にリリースされた「Dr.須藤のやりなおし輸液塾」は、臨床で使える輸液のコツがわかりやすく学べる定番番組として多くの医師に支持されてきた代表作です。しかし、2010年代も後半に入ると、動画としての古さを感じるように。輸液の基本はいつの時代も大きく変わるものではありませんが、須藤先生に、内容は変えずに新しく撮り直すことを提案しました。しかし、大船中央病院の院長にも就任し、多忙を極める先生。ただ撮り直すだけでは面白くないと、なかなか首を縦に振ってくれませんでした。そんなある日、別の企画でコミュニケーションをとっていた担当プロデューサーに、須藤先生の方から逆提案がありました。「輸液を大盤解説のように講義したら、わかりやすくて面白いんじゃないか」と。大盤解説?最初、僕は意味がわかりませんでした。「テレビの将棋番組で解説者が壁に張った大きな将棋盤で駒を動かしながら対局の解説するのを見たことありませんか?あれのことです」と聞いて、何のことかは理解しました。僕は将棋も囲碁もやりませんが、父親は囲碁が大好きで、日曜日にいつも熱心にテレビを見入っている姿を思い浮かべました。(あの形式で、解説すると、輸液がわかりやすくなるのかなぁー?)その時は正直あまりピンときませんでしたが、わかりやすい教え方に人一倍こだわりを持ち、稀代のアイデアマンでもある須藤先生のこと。きっと面白い番組になるのだろうと確信し「それで行きましょう」と企画が確定しました。しかし、須藤先生のイメージを実際に番組として具現化するのはなかなか大変で、担当プロデューサーとディレクターはかなり苦労していた様子。いろいろ考えた挙句、あえてアナログ感を出すために、CGではなく、紙で大盤を作成することになりました。できあがった「Dr.須藤の輸液大盤解説」は、期待通りとてもわかりやく、好評を博しています。須藤先生はご尊父の形見の大島紬を着こみ「ひふみん」になりきりご満悦。アシスタント役の白神真乃先生も女子アナ風にいい感じでサポートしてくれています。折しも世間は、藤井聡太五冠と羽生善治九段による「王将戦7番勝負」で大盛り上がりの最中。静岡の掛川で行われた第1局の大盤解説会には観戦希望の申し込みが殺到したと言います。今こそ、ブームに乗って、将棋な世界感で輸液を勉強してみてはいかがでしょうか?ってこじつけすぎましたね、はい。 -
抜群に面白い!医療者必見の知的エンタメがスベった理由 2022/12/24
ある日、なんとなくテレビを見ていて、新しい企画を思いつきました。見た番組は「マイケル・サンデルの白熱教室」。ハーバード大学のマイケル・サンデル教授が「正義」「貧困」「環境」といった簡単に答えの出ない骨太なテーマを講義、学生と議論する。形と中身を変えながら、NHKで10年以上不定期で続いている番組です。その2022年版を久しぶりに見たのですが、コロナ禍ということもあるのでしょう、いろいろと変わっていました。学生はみんな遠隔からのオンライン参加。その代わりハーバードからだけでなく、日本から東大・慶応、中国から精華、復旦という3極のトップ大学の学生がバーチャルで一堂に会します。これがまあ面白い。へぇー、近ごろの優秀な大学生はこんなこと考えてるんだー、って感じ。考えてみれば、僕が日頃話す若者はせいぜい30前後で、自分の子どもを除けば、学生と話したことなんてこの数年ない。Z世代、イマドキの若者のことなんて全然知らない。さらに、日米中での考え方の違いも見事に浮き彫りになって、ついつい見入ってしまいました。正直何かの役に立つわけではないけど、知的好奇心が刺激される完成されたエンタテインメントにしっかりなっている。さすが、NHK!そこで、このやり方をそっくり「日本の医療」に置き換えてみました。それが先日ケアネットライブで配信した『Dr.ヤンデルの灼熱教室』です。病理医でありながら、なぜかMCがめちゃくちゃ上手なDr.ヤンデルこと市原真先生に、サンデル役をお願いし、日本の医学生10人をオンラインで結びました。テーマは「地域医療」「感染症」「医師の給与」の3つ。僕ももちろん収録現場に立ち会いましたが、これが抜群に面白い。ヤンデル先生と医学生たちのやり取りを見ながら、これは本家NHKを超えたな、と密かに自画自賛。快哉を叫んでいました。ところが、ところが、ライブの視聴数は意外にも芳しくありませんでした。見た人はみんな一様に「面白かったー」と言ってくれるのですが…。そんな話を社内のほかの部署の後輩に話すと、「マイケル・サンデルの白熱教室ってそもそも何ですか?」「えっ?マイケル・サンデル、白熱教室、知らないの?そんな人いるんだー」「全然知りません。オレ、やばいですか?」驚いてほかの何人かに聞いてみたら、知らない人、結構いました。ガンバレ、NHK!(そこが原因だったのか?)ということで、まだ見ていない方、CareNeTVにアーカイブを公開していますので、騙されたと思って、ぜひご覧ください。正直何かの役に立つわけではないですが、医療者なら絶対に面白いと思うはずです。とくに、若者と直接話す機会が少ないベテランの先生方にお薦めです。見て損のない上質な知的エンタテインメントに仕上がっています。 -
医師を魅了する「一発診断」の世界 2022/06/25
一発診断。何人かの先生に、若い頃「それ」にとても憧れた時期があったと聞きました。言うまでもなく、診断は、問診、身体所見、バイタル、血液検査、画像検査などを行って総合的になされるわけですが、患者にある疾患の特異的な所見をすばやく見つけ、一瞬で診断をつけてしまう一発診断は、これぞ熟練の名医!のように感じられ、若い医師に魅惑的に響くのでしょうか。ところで、CareNeTVの番組は、月2回の番組企画会議で、部員に企画を出してもらい、みなで議論して決定していますが、番組制作を進めるうえで「企画」というとき、大きく3つの要素があると僕は思っています。1つ目は、番組の内容そのものの企画性。上手な問診の方法、心電図の読み方、統合失調症の治療薬の選択などなど、どのような医学的なテーマを取り上げるのか、そのテーマでどの先生に講義してもらうのか。順序が逆で、講師ありきでテーマを決める場合もありますし、講師とテーマが紐づいていることも当然多いです。2つ目は、切り口、アングルなどと呼ばれるものです。たとえば、問診の方法というテーマであれば、言葉の使い方に重点を置いたり、問診内容の病歴への落とし込みのテクニックに焦点を当てたり、といったテーマの切り取り方を工夫することで、コンテンツの質と粒度を上げていくという意味での企画性です。3つ目は、2つ目とも関連しますが、それをどう見せるか、プレゼンテーション上での企画性です。ロールプレイ中心に見せるのか、クイズ形式にするのか、アニメーションを使うのか。演出と言い換えてもよいかもしれません。書籍などの静的なコンテンツより、動画ではこの演出の要素はより大切になります。再び、一発診断。CareNeTVにこのタイトルの番組がありますが、これほど今述べた2番目のファクターが大きい番組はありません。「一発診断」というワードが一言で意味が伝わり、医師を強く引き付ける。診断というテーマに説明不要の優れた切り口を与えています。しかし、この切り口を案出したのは、残念ながら、わが部員でありません。文光堂さんがすでに発行していた同名の書籍があり、コラボレーションさせていただきました。3つ目のプレゼンテーションは工夫を凝らし、書籍とはまた違った雰囲気で「一発診断」の世界を楽しんでいただけると思います。ということで、番組企画グループ諸君、1、2、3がそろった秀逸な「企画」を期待してるよ。 -
病歴だけで診断する!バラエティ番組風に「問診」を突き詰めた異色作 2022/05/28
「僕が患者役になって、研修医に順番に問診させるんですよ。よぼよぼのおじいちゃんになったり、妊婦になったり…。性別・年齢、病気はその場で決めて、即興でやってます」小松孝行先生が順天堂練馬病院で土曜の朝、外来診療の前に毎週行っているという勉強会。その話を聞いて興味を持ちました。「一度、見に行ってもいいですか」「どうぞ、どうぞ」という感じで、見学させてもらったのが『Dr.小松のとことん病歴ゼミ』企画の始まりでした。診断で何より重要なのは病歴聴取というのが小松先生の持論。鑑別診断を想起しながら丹念に病歴を聞き出し、オンセットを詳細に把握すれば8割がた診断はつくと小松先生は言います。その技術をロールプレイで教えていたのです。帰り道でこのやり方を番組化できないか、とつらつら考えたのですが、最終的に、そのまま再現することにしてしまいました。小松先生の患者へのなりきりぶりが見事だったので、番組では少し悪ノリして、先生にいろいろ扮装してもらい、ちょっとバラエティテイストの番組に。もちろん内容はいたって真面目です。とくに細部にはとても気を使っていて、問診に対する患者の返答、反応から何を読み取り、次の質問につなげるか、その実践的なテクニックを学べるように工夫しました。研修医の先生はもちろんですが、ベテランの先生も「なるほど」と思う部分がたくさんあるではないかと思います。余談ですが、実は、僕が小松先生と初めて会ったのは、「患者として」でした。高熱で近所のかかりつけ医にかかったところ、髄膜炎の疑いがあるということで、順天堂練馬病院に紹介され、総合診療の外来でたまたま僕を診てくれたのが小松先生だったのです。髄膜炎はウイルス性で大したことなかったのですが、外来で先生と仕事の話もして、この企画につながっていきました。僕としても唯一の経験です。そんなこともあって、「病歴ゼミ」は僕にとってとっても思い出深い作品なのです。 -
「ガイドラインから学ぶ」シリーズの真骨頂 SAS診療のポイント 2022/04/23
ケアネットライブが好評をいただいています。当初は、新型コロナウイルスのパンデミックのさなか、日々変わる新型コロナ関連情報を識者にタイムリーに語ってもらうという目的で始めたのですが、予想以上に多く医師・医療者に視聴いただいたので、2021年4月から思い切って「毎週水曜日20時」に定期化しました。現在も新型コロナ関連のライブも数多く配信していますが、定期化にあたって、もう1つの軸を作りました。診療ガイドラインの解説です。僕は「ガイドラインから学ぶ」シリーズと自分で勝手に呼んでいますが、開始から1年が経過し、CareNeTVの番組の1つとして定番化してきました。コロナに次ぐもう1つの切り口を考える際、ガイドラインに目を付けた理由はシンプル。先生方のニーズがとても高いと前々から感じていたからです。CareNet.comなどで読者調査を行うと、欲しいコンテンツとして、最新論文とガイドラインの解説が必ず上位に上がってきます。一方で、現在ものすごい数の診療ガイドラインが存在し、改訂の頻度も上がってきています。ご自分の専門領域はさておき、忙しい日々の臨床の合間に、専門外の疾患の最新ガイドラインにキャッチアップしていくのは、相当大変だろうなと想像します。そのような趣旨なので、取り上げるガイドラインは、2~3年内に改訂されたもので、あまり専門的すぎず、多くの先生方が診る機会がある、知っておいたほうがよいコモンな疾患を中心に選んでいます。今から1年前。その栄えある第1回となったのが『ガイドラインから学ぶ 睡眠時無呼吸症候群診療のポイント』です。呼吸器内科と循環器内科のはざまにあるような疾患で、患者数が多く、多くの他科の先生方が外来で遭遇し、自分で治療もできる。先の趣旨にばっちりハマる疾患であり、ガイドラインだったというわけです。虎の門病院 睡眠呼吸器科の富田康弘先生の講義はすばらしく、「ガイドラインから学ぶ」シリーズの“ひな形”を見事に作ってくれました。実は当初、僕は「ガイドラインを解説するだけでいいです」とお願いしたのですが、先生は「ガイドラインの解説はしつつ、実臨床のティップスも話したほうが見た人の役立つと思いますよ」との逆提案があり、「ガイドラインから学ぶ」というタイトル案もいただきました。それ以降、単なるガイドライン解説にとどまらない、実際にその疾患を日々診ている専門医かつ臨床医の目線での「実践的な講義」をと先生方にお願いしています。 -
ティアニーと青木眞がただ語り合うこと。その100年残る価値 2022/03/26
「青木眞先生の感染症の番組をお願いします!」CareNeTVの視聴者アンケートでたまに見かけ、僕が知り合いの若い先生方と話している最中にもよく聞く意見です。周知の通り、青木先生は世界標準の感染症学を日本に広め、定着させた先駆者です。実は、かつてCareNeTVに青木先生の感染症番組があったのですが、内容が古くなったこともあり、現在は取り下げられています。そうした経緯もあり、5年前くらいでしょうか、青木先生に新しい感染症番組を制作できないか相談したことがあります。青木先生の返事は「もう僕の出る幕じゃないんじゃない?」といった感じ。実際、現在のCareNeTVは、青木先生が育てた“弟子たち”が講師陣の中心になっています。そのこと自体、青木先生が日本の医学教育ひいては医療そのものにどれだけ大きな影響を与えたかの証左でもあるわけですが、であれば逆に、「今こそ」青木先生に話してほしいことを番組にできないか?と考えました。それが後にカタチになったのが、『ティアニーと青木眞に学ぶ「医者の神髄」』です。ローレンス・ティアニー先生は、ご存じのように“診断の神様”として知られ、新型コロナパンデミックの前までたびたび来日し臨床研修病院などで症例カンファレンスを行っていました。その際、通訳兼コメンテーターとしてよく同席していたのが青木先生。そんな感じでお二人は長きにわたって公私ともにとても仲がよく、医師として尊敬し合っています。番組はその症例カンファレンスの模様と、ティアニー先生と青木先生の友情対談で構成されています。この企画に際し、ティアニー先生と青木先生に対談の主題として僕がお願いしたのは、突き詰めて言うと「いい医者って、何?」ということでした。収録当日。仲良しのお二人は終始リラックスして、ティアニー先生の飛行機の時間ギリギリまで、英語で語り合っていました。二人にとってはおそらく普段どおりのおしゃべりです。ただ、その中で随所に溢れ出る、豊かな経験と知見、深い思索と提言には、傍らで聴いていて、深く首肯し心を動かされました。ティアニーファン、青木ファンならずとも、医師という職業を選んだ方には、ぜひ一度ご覧いただきたい対談です。極端な話、100年後の医師が見ても示唆が得られる、時を越える絶対的な価値があるのではないかと思っています。 -
内科の総ざらいに 民谷式の圧倒的なわかりやすさの秘密 2022/02/26
人に何かを「伝える」ことと「教える」ことの違いは何か?「教える」ということは「教育学」という独立した学問があるくらいもとより奥深いものですが、こんな仕事をしていると、アカデミックな文脈での「教育」ではなく、平場で人にものを「教える」ことについてつらつらと考えを巡らせてしまいます。僕は若い頃はニュース記者でした。その後、雑誌編集者になり、編集長になり、紙からネットに居場所が変わり、今に至っています。CareNet.comはニュースサイトであり、僕が昔からやってきた人に情報を伝える「報道」の側面が強いですが、CareNeTVの方は「伝える」だけでは足りません。「伝えたこと」が見た人の血肉となり、その人のレベルアップにつながらなくてはならない。「伝える」の先に「教える」があると僕は考えています。10年に及ぶCareNeTVの番組制作の中で、教えるのが上手い先生にたくさん出会いました。また、一口に教え方が上手いといっても、さまざまなタイプがあることも知りました。その中でもとくに印象に残っているのが、『民谷式 内科系試験対策ウルトラCUE』の民谷健太郎先生です。民谷先生は救急科専門医ですが、かつて医師国家試験予備校で講師もしていて、そのような意味で、教えるプロでもあります。僕が、民谷先生の講義を聞いた第一印象は、ありのままに言うと「なんか、わかりやすいなー」という感じ。そして、先生の講義を聞きながら次第に「なぜ、こんなにわかりやすいんだろう?何がほかの先生と違うんだろう?」と考え始めました。「民谷式…」の中で先生はオリジナルのシェーマを数多く用い、講義を進めています。それはよくできていて、とても理解を助けてくれるのですが、違いはそれだけではない気がします。そんなことを考えながら内科の全領域をカバーする合計12コマのレクチャーをスタジオの傍らで聴講した僕の結論は、「民谷先生は、難解なものをどうやって理解させるかではなく、難解なものを自分がどうやって理解してきたのか、ときに苦労して編み出した自分の頭の中での理解の仕方を、最短距離で再現し講義を組み立てているのではないか」というものです。上から目線の逆。いわば下から目線。教え方の1つの型として、自分がかつて理解したように教えるというのはあるのではないでしょうか。このように言葉にするといまひとつイメージがわかないかもしれませんが、実際に番組を見ると、僕が言いたいことがなんとなく伝わるのではないかと思います。多くの先生方はキャリアを重ねるほど、誰かに何かを「教える」機会が増えてくると思います。そんな時、民谷先生の教え方は、ひょっとすると参考になるかもしれません。もちろん内科の総復習、内科専門医試験対策にも最適です。 -
ニッチだけどすべての医療者が修めるべきプログラム 2022/01/29
「日本には体系的なプログラムはほとんどないと思いますよ」当時そう聞いたとき、とても意外な気がしたのを覚えています。救急外来や病棟で行う処置時の鎮静と鎮痛、Procedural sedation and analgesia(PSA)。処置するときに患者の痛みを和らげ、落ち着かせるために、薬物を使うことはかなりのリスクを伴うのは素人でもわかります。しかし、現場任せで一連の手順がマニュアル化されていない病院も結構あるとのこと。EBMが叫ばれ、さまざまな疾患でガイドラインが作成され、診療の標準化が進むなか、ニッチというと語弊がありますが、細かいところではまだ「勘と度胸」に頼る医療が行われている実態があるのだなーと。健和会大手町病院では、そんな状況を鑑み、米国ニューメキシコ大学が開発したセデーションの教育プログラムを輸入して改良し提供していました。これは番組化する価値ありと思い、山口征啓先生を中心とするチームと制作したのが『Sedation for All―安全で確実な鎮静・鎮痛プログラム―』です。患者のモニタリングや症例に応じた薬剤の選択、適切な薬剤の投与法など、本来ならば大手町病院で丸1日かけて実施される研修プログラムの内容を動画レクチャーでコンパクトにまとめています。ところで、「Sedation for All」ってタイトル、カッコよくないですか?僕は、仕事柄、たくさんの記事や番組にタイトルをつけてきました。タイトルを考えるのは楽しいですが、イケてるタイトルをつけるのはとても難しいものです。たくさん候補を挙げて悩みに悩んだ挙句、最終的にその時これが一番と思うものを当然選ぶわけですが、それが本当にいいタイトルだ、とわかるのは5年以上たった後。“名づけ“の評価には、時の検証が必要というのが僕の持論です。今、久しぶりに、この番組のタイトルバナーを見て、伝えたいメッセージと番組の世界感が端的に伝わり、言葉としても美しい、なかなか良いタイトルだなーと感じました。だから、僕的にはネーミングの成功例です(笑)。2014年のリリースなので多少古くなっている部分もありますが、山口先生によると、基本的なところは大きく変わっていないとのことなので、院内のコメディカルの方々を含め、すべての医療者のセデーション教育にぜひご活用ください。 -
誰もが診るカゼに絞って漢方の深みを知る 2021/12/25
漢方というのは、とてもユニークな医学です。誤解を恐れず言えば、“不思議な医学”だと思います。現代科学ではなく、古代から伝わる経験に基づいている。その一方で、確立された独自の体系を持っている。日本人医師でその体系を十全に理解している先生はあまりいない。しかし8割以上の臨床医が日常的に当たり前のように漢方薬を処方している。とても不思議な世界です。そのような世界ですから、漢方というものに対する先生方のスタンスも多様です。「漢方の理論をしっかりと理解したうえで、その理論に基づき適応を見極めて処方すべき」と考える正統派の先生もいれば、「効くといわれる処方のパターンだけ覚えて、適宜使えばいい」という現実的な先生もいます。先生ごとに考えに濃淡があって、中には漢方をあまりあてにしていないという人も。しかしながら、8割以上の医師が日常的に使っている以上、漢方にまったく興味がないという先生はほとんどいないはずです。CareNeTVでは、そうした漢方をとりまく実情を踏まえ、さまざまなタイプの番組を制作してきました。『Dr.加島のカゼを直す漢方』もそんな試行錯誤の中で生まれた番組です。加島雅之先生は、先の分類で言えば、正統派の先生に属すると思います。一方で、日々患者を診る第一線の臨床医であり、多くの先生に漢方の凄さの少しでも知ってもらい、とにかく漢方を日常診療に役立ててほしいと希求する現実的な面も持っています。言うまでもなく、漢方理論をゼロから説明して多くの疾患を実際に治せるレベルまで講義するのは簡単ではありません。そこで加島先生とお話しする中で、風邪という誰もが診るもっともコモンな疾患に絞って、理論と実践を網羅するという方針になりました。第4回以降を見ると、具体的な風邪症状に対する漢方薬の使い方がクリアにわかるのですが、第2回「漢方の基本の枠組み」、第3回「漢方でカゼを診断する」あたりにこのシリーズの真骨頂があると僕は思っています。「証」「精気」「五臓」「六腑」「四診」「八綱弁証」「傷寒」「温病」など、漢方独自の概念がそれぞれ何を意味していて、どのように体系づけられているか?謎解きにも似た知的好奇心をそそられ、漢方理論で風邪を診断してみたくなるでしょう。これからのシーズン、外来に数多く訪れるであろう風邪症状の患者を診ながら、より効果的な処方ができるよう“漢方脳”を鍛えるのもよいかもしれません。 -
インフルエンザが流行ろうが流行るまいが今見てほしい番組 2021/11/28
新型コロナウイルス感染拡大が国内では落ち着きを見せています。第6波の懸念が巷間ささやかれていますが、本稿執筆時点ではその兆候は見られません。が、このメールがみなさまのお手元に届くころには、また状況は変わっているかもしれません。かように、一寸先もわからない世界を私たちは生きています。僕が月刊医学雑誌の編集長だった10年以上前。年末に翌年の各月の特集をおおまかに定めるのですが、この月つまり11月の特集は最初から決まっていました。インフルエンザです。臨床医であれば冬場だれもが気になるこの感染症の情報をアップデートすることが(そんなに目新しい知見がないにせよ)確実に記事としてウケるからです。昨年、COVID-19のパンデミックの影響で、そのインフルエンザがまったく流行りませんでした。では、今年は流行るのか?というトピックも耳目を集めていますが、これも現時点では神のみぞ知る、です。COVID-19もインフルエンザも、多くは、初期症状は風邪とそう変わりありません。逆に風邪症状だからといって、COVID-19とインフルエンザを除外すれば、風邪であると言えるわけでは、当然ながら、ありません。もっと重篤な疾患が隠れているかもしれないからです。10年前、ケアネットでこのテーマに焦点を当てたのが、山本舜吾先生です。『“かぜ”と“かぜ”のように見える重症疾患』。タイトルそのままの内容で、風邪症状はだれもがあまりに日常的に遭遇するため、“流してしまう”リスクに警鐘を鳴らしたのです。この着眼点は当時“目から鱗”的な評価を得、今なお、多くの先生方がこの番組を日常診療に役立ててくれています。もちろんこの番組は、COVID-19など影も形もなかった時代に制作されたものです。第1話のタイトルは「“かぜ”のような顔をしてやってくる重症患者」。今だったら、そんな患者が来たら、まずCOVID-19を疑い、除外することを考えるでしょう。しかし、COVID-19が否定されても、風邪ではない重篤な疾患の可能性は残るのです。第6波が来ようが来まいが、インフルエンザが流行ろうが流行るまいが、『“かぜ”と“かぜ”のように見える重症疾患』の視座が大切なことに変わりはありません。だから、それを再認識していただくためにも、今こそ見てほしいのです。 -
英語プレゼンが確実にワンランク上がるTips満載 2021/10/28
音程を1オクターブ下げてみよう階段を下りる調子でしゃべってみよう一気にしゃべってみよう思い切って音をつなげてみよう思い切って音を脱落させてみようこれが何のためのノウハウかわかりますか?(今文章を読んでいる方は、タイトルを見てこの文章を読み始めているでしょうから、クイズになっていないのですが…)『学会で光る!英語プレゼン』講師の佐藤雅昭先生による、英語らしく聞こえる5つのsecretsです。英語というのは、日本に住む日本人にとってマスターするのがとても難しいものです。インターネットでこれだけ世界がつながっても、英会話スクールや英語教材が大きな産業であり続けているのがその証左でしょう。かくいう僕も、英語が流暢に話せるわけではありませんが、この『学会で光る!英語プレゼン』を見て、だいぶうまくなった気がします。ともかく、佐藤先生は英語が上手なだけでなく、とても頭がよく論理的な方です。日本人が英語をうまく話せない、怖気づいてしまう原因を分析し、それを解決する手段を「論理的に」「科学的に」教えてくれます。番組では、英語のプレゼンテーションの要素を、スライドのまとめ方、質疑応答の仕方、英語そのもののしゃべり方など、細かく分解し、それぞれに起こりがちな問題を解決する方法を提示しているのですが、いちいち腹に落ちます。冒頭の5つのsecretsもその一例ですが、やってみると、案外そんな気がしてくるので、ぜひお試しください。番組をご覧いただけば、その理由もわかります。なかなか面白いですよ。また、今回この番組を見直して改めて思ったのが「英語も言葉である」という当たり前のことです。つまり、先生が話していることは、日本語に置き換えてもそのまま通じるノウハウが多いのです。真剣に見て理解して実践すれば、英語プレゼンテーション、さらに敷衍すると、日々の言語コミュニケーションの上達にもつながると思います。番組で紹介していることをすべて実行できなくても、通して見れば、1つや2つは英語力がワンランクアップする自分にあったTipsがあるはずです。派手さはないですが、見て損のない、とても実用的な番組です。 -
透析のバイトに出る前にこれだけはさらってほしい 2021/09/25
「医師が自腹を切ってまで勉強したいことってどんなことだろう?」CareNeTVの新しい番組企画を検討するときは、そのことばかり、繰り返し繰り返し考えます。 自分の専門分野こそがもっとも勉強したいことだろうし、すべきことでしょうが、それは医師の本来業務に含まれており、みなさん日々熱心に学んでいるでしょう。最新の情報やより深い知見も学会などから得ているはずで、CareNeTVの出番は少ない気がします。 「透析のバイトって、みんな不安だと思うんですよねー」 ある若手の先生と雑談で、上述のようなことを話していると、こんな言葉が出てきました。 透析医療は、言うまでもなく、腎臓内科あるいは泌尿器科の専門領域です。日本透析医学会は専門医制度も設けており、現在その数は約6000人。しかし、34万人に達しいまだ増加を続ける透析患者を専門医だけが診ていくことは不可能です。 ただでさえ透析はひとたびその状態になると一生続けなければならない医療です。多くの医療者がかかわる必要があり、慢性期の維持透析に関しては、他科の医師が非常勤で対応しているケースも多いのが実情。 企画の誕生です。 「透析にあまり詳しくない先生がバイトする際、専門医の視点から『最低限ここまでは知っておいてほしい』『ここは気を付けてほしい』という内容をレクチャーしてくれませんか」。聖マリアンナ医科大学の櫻田勉先生にお願いすると、快く応じてくれました。 2017年にリリースした『透析患者を診る前に1時間で詰め込む 透析管理の基礎知識』では、血液透析のシステムと原理という基本中の基本から、透析処方の実際、検査値の見方、トラブルへの対応といった実臨床に即した、透析医療に必要不可欠な知識が要領よくまとめられています。 正直、透析管理は多くの医師にとって「自腹を切ってまで勉強したいこと」ではないかもしれません。しかしCareNeTVにわかりやすい講義があれば、バイトに行く前やちょっと気になったときに、さらっと学べる。自信を持って診療に臨める。 医師の学びのニーズは至るところにあるはずです。それを上手にお手伝いすることで、医療の質向上に微力ながら貢献できればと考えています。 -
「薬を切れる医者がいい医者」時代の「切る」技術 2021/08/28
「処方カスケードからポリファーマシーとなり、減薬が必要です」 今でこそ当たり前な言い回しですが、最初に言われ始めたころ(7、8年前でしょうか?)、とても不思議な感じがしたのを覚えています。 そもそも「処方カスケード」って何?と最初思いました。処方カスケードとは、患者が服用している薬による有害事象を医師が新たな病状と認識し、それに対して新たな処方を行うことです。当然、薬の過剰な多剤併用状態=ポリファーマシーの原因になります。 それが医療現場で普通に起こっていると知ったときは、医師の処方って、そんなにいい加減に行われてるの?と正直感じました。意味がなかったり、不要だったりするのであれば、中止すればいいだけじゃないの?と。 雑談でそのことを何人かの医師に率直に話すと、だいたいこんな返事が返ってきました。 「前医が処方してずっと飲み続けている薬は、処方理由がわからなくて、なかなか切れないものなんだよ。患者も不安がるしね」 「医者は薬を使ってどう治すか、と考えるのが当たり前で、薬をどう減らすかとはまず考えないよ」 なるほど、話はそんなに単純ではないようです。 2016年11月にリリースした『Dr.キタカズの解決!ポリファーマシー』は、ポリファーマシー状態にある処方薬の切り方を実践的に指南した番組。同年4月リリースの関口健二先生の『エビデンスベースド!高齢者向け“最適”処方術』は、いわばそれに理論的な裏付けを与える内容です。当時流行っていたのでしょうね。 ひと昔前までは、患者さんは、薬をたくさん出してくれる先生を好むとよく言われました。まだその傾向はあるとは思いますが、医学的には、その患者さんに最小限の最適処方ができる医師が「いい医師」であるのは論を待ちません。そして、時代は確実にそちらに進んでいます。 まだ、その視点をあまり持ち合わせていない先生がもしいらしたら、番組をちょっとのぞいてみてください。 -
診断+戦略、平凡な2つの単語が常識を変えた! 2021/07/29
診断戦略エッセンス。これは医学書院から発行されている、志水太郎先生の同名の著書のポイントを映像化した作品です。この企画を思いついたのは僕ですが、この本を最初に知ったとき、失礼ながら凡庸なタイトルだと感じたのを覚えています。後に、凡庸なのは僕の方だったと気づくわけですが…。 志水先生は僕が親しくさせていただいている医師の1人です。最初に知ったのは『診断戦略』の前にものした『愛され指導医になろうぜ』(日本医事新報社)という本。この本は、逆に「医学書にしては面白いタイトルだなー」と思いました。だいたい、自分のことを愛され指導医とか言っちゃう?みたいな。 この本が若手医師に評判がよいと知り、リーダーシップについて話してもらうために、志水先生に初めてコンタクトをとりました。その後、親しい共通の知り合いがいたこともあり、食事などもご一緒するようになったのです。 『診断戦略』については冒頭のような第一印象だったので、あまり興味を持っていませんでした。しかし志水先生と話しているうちに、先生がこの本で何をしたいのかわかってきました。何を書きたいか?ではなく、何をしたいか?です。 医師が臨床でよく使う言い回しに「治療戦略」というのがあります。目の前にいる患者を治すために、どんな武器を使って、どのように攻めていくか、戦略を立てるのは臨床医の常識です。一方で、診断に戦略を立てているでしょうか? 経験と勘で行われている、と言っては語弊がありますが、少なくとも戦略が治療のように体系化され、言語化されていない。 志水先生は、診断という行為も治療のように戦略をもってなされるべきだと考え、それを同書で提言した。つまり、医師の常識、従来の行動そのものを変えようとしたのです。 診断、戦略という単語は平凡でコモンなワードです。しかし、その2つの単語をくっつけるだけで新しい世界観を提示している。大上段に構えた普遍的な概念だからこそシンプルに。実によくできたタイトルだ!と後で気づきました。一方で「愛され指導医」のような奇抜でキャッチーなワーディングもできる志水先生は、コピーライターとしてのセンスも一流なのです。 実際、同書のお陰もあり、診断を科学的に戦略的に行おうという動きは着実に広がっています。本の宣伝のようになってしまいましたが、エッセンスは本番組でしっかりわかるので、まだ「診断戦略」をご存じない方は、どのようなものかぜひご覧になってみてください。