動画コンテンツを制作する際に、どのようなタイトルをつけるかはとても重要です。
とくにネットにあふれる「手軽な動画」の場合、タイトルやバナーなどのビジュアルを目にした一瞬で興味を持たれなければ、観られることはありません。本体の動画コンテンツがどんなに良いものであったとしても、タイトルで惹きつけてクリックさせなければ、評価の対象にすらならずネット空間に埋もれていきます。もちろん例外はありますが、言わんとすることは理解いただけるでしょう。
だから僕らはタイトルづけには腐心します。考えて考えて考え抜きます。それが出演いただいている講師への最大の敬意であるし、潜在的な視聴者に対する(その動画の価値を伝えるという)大切な情報提供だからです。
「プライマリ・ケアの疑問 Dr.前野のスペシャリストにQ」
このタイトルはどうでしょうか?まあ悪くないと思います。しかし、初めて見たすべての人が見た瞬間にその内容を想起できるでしょうか?「Qって何?」と思う人もいるかもしれませんね。
他人事のように書いているのは、このタイトルは僕がつけたわけではないからです。プライマリケア医の立場から前野哲博先生が各科のスペシャリストに疑問をぶつけて答えてもらう形式の番組で、循環器編、神経内科編というように、僕がケアネットに入社する前から長期にわたって続いているシリーズです。
「あなたの悩みを5分で解決!一問一答Q&A番組」
「はっきり!スッキリ!あなたのすべきことがわかる一問一答Q&A番組」
「5分で専門医が言い切る!プライマリ・ケアのベストチョイス」
これらは「スペシャリストにQ」のキャッチコピーの変遷です。キャッチコピーとは、商品や作品の魅力を伝えるために人の注意を引く宣伝文句のこと。タイトルを補完するものとしてネット空間ではタイトルと同じくらい重要になります。3つの中でどのコピーが一番いいかは一概には言えませんが、僕はもっとも新しい「5分で専門医が言い切る!」が気に入っています。
実は、この「言い切る」という言い回しは、前野先生が収録現場でよく相手のスペシャリストの先生に言っている言葉でもあります。
「専門家の間では議論があるところでも、あいまいにせずに、ズバっと言い切ってほしいんです。そうしないと僕ら(プライマリケア医)はどっちがいいのか、どうしたらいいのかわからないので」
ガイドラインに書いてある内容をそのまま話すのではなく、臨床現場でその先生は実際どうしているのか?プライマリケア医にはどこまでやってほしいのか?そこをクリアにする。そのポイントを端的に話す。それこそが、この番組の最大の特徴であり、「5分で専門医が言い切る!」はその特徴をかなり表現できているコピーだと自負しています。
先生方は、そんなややこしいことを考えず直感的にCareNeTVの番組を選んでご覧いただいていると思いますし、それでよいのですが、たまにはそんな視点でタイトルやキャッチコピーを見返してみると、そのコンテンツから学べる「最大の価値」(と作り手が考えているもの)が何なのか気づくかもしれません。