これだけは知っておけ!?耳鳴を主訴とするAIも知らない良性疾患とその対処法

2025/05/25

「Dr.藤原のこれだけ耳鼻咽喉科」。2022年8月にリリースしたこの番組は、プライマリケアの現場で出合うことはあっても、内科系の先生方は学ぶ機会がほとんどないであろう耳鼻咽喉科の診療ポイントをまとめています。


プライマリケア医として耳鼻咽喉科領域は「これだけ」押さえておけば合格点ではないかというのが企画趣旨で、そうした意味でこの番組名をつけました。比較的頻度が高く、プライマリケアで対応可能な疾患、病態に絞りこんでいるのが一番の特徴です。


なので、副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎など、プライマリケアの先生方にもなじみ深い疾患が多いのですが、その中で意外と知られていないかもしれない病名が1つ出てきます。「これだけ耳鼻咽喉科」の中でもとくに「これだけ」知っておくとよいかもしれません。


僕がそう思ったのには理由があります。実は、僕の親族にこんなことがありました。


僕が医療関係の仕事をしているということで、たまに知り合いに病院や病気のことを聞かれることがあるのですが、その人が苦しんでいたのが「耳鳴」。彼女は高齢で心臓の手術もしていたので、かかりつけ医に定期的に診てもらっていたのですが、その先生に相談しても原因はわからず、お決まりのメチコバールが処方されただけ。


先生がわからないのに僕が聞いても仕方ないじゃない?と思いながら話を聞くと、その耳鳴の症状がバッチリ当てはまったんです。この番組の第2回の「耳鳴をはじめとした耳疾患」で出てくるある疾患に。番組を見た後だったので、すぐに思い至りました。


最終的に彼女はやはり心配で総合病院の耳鼻咽喉科を受診したんですが、僕が予想した病名を自分から口にしたら「その通りです」と、先生にとても驚かれたそうです。


その病名は、耳管開放症。


藤原先生は、番組の中で耳管開放症を耳鳴を主訴とする割とよくある良性疾患として紹介しています。もちろん知っている先生も多いでしょうが、僕の親族の主治医のように知らない先生も結構いるのではないかと思います。


この疾患は根本的な治療法はないのですが、番組では藤原先生がその対処法を教えています。これが実に簡単で効果的。僕の親族が病院で指導された内容も基本的に同じで、彼女はそれで治りました。治ったというより、原因がわかって安心して症状が気にならなくなったという感じですが。ともかく問題は解決したのです。


試しに、いま流行りの生成AIに「高齢者の耳鳴の主な鑑別疾患を挙げてください」と聞いてみました。すると、突発性難聴、メニエール病など教科書的なものを当然挙げてきますが、耳管開放症という病名は出てきません。


この原稿がCareNeTVのサイトに掲載されて、しばらくすると、AIも学習してくれるかなー?

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