CareNeTVで臨床医学チャンネルを標榜し、臨床で働く先生方の「明日の仕事」がより高質に、より効率的になるようなコンテンツのあり様を入念に検討し、丁寧に制作しています。それが基本ではありますが、一方で、ここ数年先生方の「現実的なニーズ」がとても高いのが、専門医試験対策番組です。
専門医の資格は、先生方のキャリアにおいて非常に重要であり、その試験を一発で確実に合格したいと考えるのは当然のこと。CareNeTVで微力ながらそのお手伝いをできればと、どのような形でサービス設計するのがよいか熟考し、実行に移しています。
今年度は初の試みとして、「消化器病専門医試験パーフェクト対策」を企画しました。講師は公立豊岡病院の宮垣亜紀先生。こちらは動画コンテンツではなく、Zoomを使った双方向の少人数オンラインスクールで、7月26日に開講します。受験する先生がいたら、ぜひご紹介ください。
ところで、今年に入って非アルコール性脂肪性肝炎、いわゆるNASHの新薬が初めて米国で承認されたのをご存じでしょうか?
今年3月19日のCareNet.com「バイオの火曜日」の記事によると、その薬は米国Madrigal Pharmaceuticals社が開発したresmetirom(商品名:Rezdiffra)です。1日1回の経口服用薬で、NASH患者の肝臓で不調となる甲状腺ホルモン受容体β(THR-β)のアゴニスト。肝臓の線維化のステージがF2~F3の患者が適応となります。
NASHは日本でも患者数が増えている疾患ですが、その治療薬は何か?と問われたら、「存在しない」というのがこれまでの答えでした。それが今は日本では承認されていないが、resmetiromという薬剤となります。
ただし、NASHの新薬開発競争は肝臓の領域でホットな話題ではありますが、日本の専門医試験でresmetiromが問われることは今のところないはずです。もちろんNASHの治療について問われる可能性はあります。その際の正答の根拠となるのは、日本の標準治療つまり診療ガイドラインの記述ということになります。
特効薬がないなかでNASHが実際に日本でどのように治療されているのか、どんな問題があるのかについてもケアネットで情報提供しています。2021年7月にライブ配信した「ガイドラインから学ぶNAFLD/NASHの診療ポイント」がそれです。ケアネットライブとして不定期で配信している「ガイドラインから学ぶ」シリーズは、さまざまな疾患の最新知見、日本におけるその時々の標準治療のキャッチアップに大変好評をいただいています。
NASHの回のライブ講師は同じく宮垣先生。ガイドラインの最終改訂は2020年なので、内科専門医試験にも消化器病専門医試験にも対応できる内容です。もちろん本試験でNASHについて出題されるかはわかりませんが。
医学は日進月歩で進歩し情報は絶えずアップデートされていきます。その意味で絶対的な不動の正解があるわけでなく、その目的によって情報の伝え方、届け方も変える必要があると思います。情報が溢れるなかでそれを最適化するのが、つまりところ私たちケアネットの役割なのではないかと感じる昨今です。