救急で来る小児の腹痛で、絶対に見逃してはいけない疾患は5つだそうです。その5疾患が何だかわかりますか。それらを的確に鑑別する自信がありますか。もし少しでも自信がないようであれば、ぜひこちらの番組をご覧ください。30分で不安が解消されます。
その番組とは、『こどものみかた~シミュレーションで学ぶ見逃せない病気~』。一般社団法人こどものみかたが開催している「小児救急T&A(Triage & Action)コース」に基づいたこのプログラムは、小児科を専門としていない医師が、夜間急患当番などで「こどもを診ざるを得ない場面」を想定し、身に付けておくべき小児患者に対する必要十分な対応法を体系的に学べるのが特徴です。
さて冒頭の問いの答えですが、こどものみかた代表理事で相模原市国民健康保険内郷診療所 所長の土肥直樹先生が、番組内で挙げる小児の腹痛で見逃してはいけない5疾患は、虫垂炎、腸重積、鼠径ヘルニア嵌頓、精巣捻転、アレルギー性紫斑病の5つです。
鑑別のためには、まずトリアージ。小児の全身状態はAppearance(外見)、Breathing(呼吸)、Circulation to skin(皮膚への循環)のABCで判断します。外見の評価方法としてはPALSという独自の手法を提唱。具体的な評価の仕方は、このシリーズの第1回「トリアージ」で説明しています。
PALSで評価を行ったうえで、たとえば腸重積を疑った場合、嘔吐、血便、腹部腫瘤が代表的な臨床所見になります。しかし発症早期では、この3主徴がそろうのは20%程度であり、疑ったら血便等がなくてもエコーで診断することが必要。その際のプローブの当て方のコツ、特徴的な所見などを解説していきます。
番組では、先の5疾患で、このように見落とさないためのアプローチをレクチャーしていますが、実は、小児の腹痛で最も多い原因は便秘。その対処法も最後にしっかり教えています。とくに注意すべきは、家で便が出ていても便秘は起こりうるということ。
そして「小児救急の腹痛で、浣腸してはいけない疾患はない」(土肥先生)ため、小児救急で腹痛を見たら、便が出ているか否かにかかわらず、まずは浣腸を行うのが原則となるのです。