「医師が自腹を切ってまで勉強したいことってどんなことだろう?」CareNeTVの新しい番組企画を検討するときは、そのことばかり、繰り返し繰り返し考えます。
自分の専門分野こそがもっとも勉強したいことだろうし、すべきことでしょうが、それは医師の本来業務に含まれており、みなさん日々熱心に学んでいるでしょう。最新の情報やより深い知見も学会などから得ているはずで、CareNeTVの出番は少ない気がします。
「透析のバイトって、みんな不安だと思うんですよねー」
ある若手の先生と雑談で、上述のようなことを話していると、こんな言葉が出てきました。
透析医療は、言うまでもなく、腎臓内科あるいは泌尿器科の専門領域です。日本透析医学会は専門医制度も設けており、現在その数は約6000人。しかし、34万人に達しいまだ増加を続ける透析患者を専門医だけが診ていくことは不可能です。
ただでさえ透析はひとたびその状態になると一生続けなければならない医療です。多くの医療者がかかわる必要があり、慢性期の維持透析に関しては、他科の医師が非常勤で対応しているケースも多いのが実情。
企画の誕生です。
「透析にあまり詳しくない先生がバイトする際、専門医の視点から『最低限ここまでは知っておいてほしい』『ここは気を付けてほしい』という内容をレクチャーしてくれませんか」。聖マリアンナ医科大学の櫻田勉先生にお願いすると、快く応じてくれました。
2017年にリリースした『透析患者を診る前に1時間で詰め込む 透析管理の基礎知識』では、血液透析のシステムと原理という基本中の基本から、透析処方の実際、検査値の見方、トラブルへの対応といった実臨床に即した、透析医療に必要不可欠な知識が要領よくまとめられています。
正直、透析管理は多くの医師にとって「自腹を切ってまで勉強したいこと」ではないかもしれません。しかしCareNeTVにわかりやすい講義があれば、バイトに行く前やちょっと気になったときに、さらっと学べる。自信を持って診療に臨める。
医師の学びのニーズは至るところにあるはずです。それを上手にお手伝いすることで、医療の質向上に微力ながら貢献できればと考えています。