「日本には体系的なプログラムはほとんどないと思いますよ」
当時そう聞いたとき、とても意外な気がしたのを覚えています。
救急外来や病棟で行う処置時の鎮静と鎮痛、Procedural sedation and analgesia(PSA)。
処置するときに患者の痛みを和らげ、落ち着かせるために、薬物を使うことはかなりのリスクを伴うのは素人でもわかります。
しかし、現場任せで一連の手順がマニュアル化されていない病院も結構あるとのこと。
EBMが叫ばれ、さまざまな疾患でガイドラインが作成され、診療の標準化が進むなか、
ニッチというと語弊がありますが、細かいところではまだ「勘と度胸」に頼る医療が行われている実態があるのだなーと。
健和会大手町病院では、そんな状況を鑑み、米国ニューメキシコ大学が開発したセデーションの教育プログラムを輸入して改良し提供していました。
これは番組化する価値ありと思い、山口征啓先生を中心とするチームと制作したのが『Sedation for All―安全で確実な鎮静・鎮痛プログラム―』です。
患者のモニタリングや症例に応じた薬剤の選択、適切な薬剤の投与法など、
本来ならば大手町病院で丸1日かけて実施される研修プログラムの内容を動画レクチャーでコンパクトにまとめています。
ところで、「Sedation for All」ってタイトル、カッコよくないですか?
僕は、仕事柄、たくさんの記事や番組にタイトルをつけてきました。
タイトルを考えるのは楽しいですが、イケてるタイトルをつけるのはとても難しいものです。
たくさん候補を挙げて悩みに悩んだ挙句、最終的にその時これが一番と思うものを当然選ぶわけですが、
それが本当にいいタイトルだ、とわかるのは5年以上たった後。
“名づけ“の評価には、時の検証が必要というのが僕の持論です。
今、久しぶりに、この番組のタイトルバナーを見て、
伝えたいメッセージと番組の世界感が端的に伝わり、言葉としても美しい、なかなか良いタイトルだなーと感じました。
だから、僕的にはネーミングの成功例です(笑)。
2014年のリリースなので多少古くなっている部分もありますが、山口先生によると、基本的なところは大きく変わっていないとのことなので、
院内のコメディカルの方々を含め、すべての医療者のセデーション教育にぜひご活用ください。