聖路加・岡田先生さえ尻込みしたプレゼン名人の「完璧な7分」

2019/10/19

「○○先生の次には話したくないよねー」

講演会やセミナーの控え室で、こんな言葉を耳にすることがよくあります。これはもちろん、前に話す演者の先生の話の上手さを褒めて言っているわけです。実際、「誰から見ても抜群にスピーチ、プレゼンテーションが上手な医師」というのがいます。


CareNeTVには、そんな話が上手くてかつ臨床的にも一流の先生方が集まっていますが、中でも僕が「めちゃくちゃ上手いなー」といつも感心してしまうのが聖路加国際病院の岡田正人先生。現在、その“話力”を最大限にフィーチャーした新番組『岡田正人のアレルギーLIVE』を配信中ですが、今回紹介したいのはこの番組ではありません。


5年以上前ですが、その岡田先生が「…の後に話したくないなー」とおっしゃっていた先生がいます。「えっ、岡田先生でも?」と驚いたのでよく覚えているのですが、その先生とは、慶應義塾大学の香坂俊先生です。


「ああー、なるほど」と膝を打った方も多いと思います。当のお二人が共演しているのが、2013年制作の『CliPS』。当時流行り始めたTEDの臨床版というイメージで、Clinical Presentation Stadium、略してCliPSと名付けました。岡田先生、香坂先生をはじめとする誰もが認めるプレゼンの名手に加え、「我こそは」と手を挙げてくれた先生を含め計23人の、観客を前にしたガチの臨床プレゼンが収録されています。


その中でも絶対に見てほしいのが、やっぱり香坂先生の『Ooops! I did it, again... 難しい呼吸困難の鑑別』。しゃべりそのものにも惹きつけられますが、特筆すべきはプレゼンのストーリー。


ツカミから話が自然に展開され、ドンデン返しがあり、ラーニングのポイントに収斂されていく。そして最後に、気の利いたオチ。7分間の構成が完璧すぎて、何度見てもスゴい!と唸らされます。


岡田先生の『Good Morning, NY!』も好きな作品です。臨床的な深い学びがあるだけでなく、先生の医師としての姿勢に襟を正したくなるでしょう。実は、この2つのプレゼンにはテクニカルな共通点がいくつかあって、続けて見ると「イケてるプレゼン」の極意が見つかりそうです。


結局、岡田先生のプレゼンが香坂先生の前だったか後だったかもう覚えていませんが、ユーチューバーが流行るなど、当時とは情報発信のあり方もだいぶ変わってきているので

今風のCliPSをまた企画してみたいですね。

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