病歴だけで診断する!バラエティ番組風に「問診」を突き詰めた異色作

2022/05/28

「僕が患者役になって、研修医に順番に問診させるんですよ。よぼよぼのおじいちゃんになったり、妊婦になったり…。性別・年齢、病気はその場で決めて、即興でやってます」


小松孝行先生が順天堂練馬病院で土曜の朝、外来診療の前に毎週行っているという勉強会。その話を聞いて興味を持ちました。


「一度、見に行ってもいいですか」


「どうぞ、どうぞ」


という感じで、見学させてもらったのが『Dr.小松のとことん病歴ゼミ』企画の始まりでした。


診断で何より重要なのは病歴聴取というのが小松先生の持論。鑑別診断を想起しながら丹念に病歴を聞き出し、オンセットを詳細に把握すれば8割がた診断はつくと小松先生は言います。その技術をロールプレイで教えていたのです。


帰り道でこのやり方を番組化できないか、とつらつら考えたのですが、最終的に、そのまま再現することにしてしまいました。小松先生の患者へのなりきりぶりが見事だったので、番組では少し悪ノリして、先生にいろいろ扮装してもらい、ちょっとバラエティテイストの番組に。


もちろん内容はいたって真面目です。とくに細部にはとても気を使っていて、問診に対する患者の返答、反応から何を読み取り、次の質問につなげるか、その実践的なテクニックを学べるように工夫しました。

研修医の先生はもちろんですが、ベテランの先生も「なるほど」と思う部分がたくさんあるではないかと思います。


余談ですが、実は、僕が小松先生と初めて会ったのは、「患者として」でした。高熱で近所のかかりつけ医にかかったところ、髄膜炎の疑いがあるということで、順天堂練馬病院に紹介され、総合診療の外来でたまたま僕を診てくれたのが小松先生だったのです。


髄膜炎はウイルス性で大したことなかったのですが、外来で先生と仕事の話もして、この企画につながっていきました。僕としても唯一の経験です。そんなこともあって、「病歴ゼミ」は僕にとってとっても思い出深い作品なのです。

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